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2014年6月

2014年6月30日 (月)

「イベリコ豚を買いに」

Photo知人に勧められて読んだ「イベリコ豚を買いに」は、ノンフィクションの食に関する紀行ではなく、事業開発屋の私にとっては、新規事業開発のビジネス書でした。

農水産物領域での新規事業開発を考えている人には、是非ビジネス視点で読んでいただきたい1冊です。

内容紹介(Amazon.co.jpより)
謎だらけのイベリコ豚を追ってスペインへ! 「本当にどんぐりを食べているのか?」「イベリコという町はどこにあるのか?」「安売りセール肉は本物か?」……。 レストラン、スペインバルはもとより、今やコンビニ、回転寿司でもごく普通に売っているイベリコ豚。高級食材として知られているはずのものが、いまや日本全国で手に入るのはなぜか?そもそも、イベリコ豚はそんなに沢山いるのだろうか? 著者はそんな素朴な疑問をいだき、取材を始めた。日本人が知らないイベリコ豚の「真実」を明らかにすべくスペインを目指した著者。幾多の困難を乗り越え、現地に辿り着いた著者を待っていたのは、驚きの連続だった。……。 ローマ時代の遙か昔からスペインで幻の豚を守り育ててきた熱き男たち。そして素晴らしい生ハム作りに命を捧げる職人たちとその家族のドラマを紡ぎながら、知られざるイベリコ豚の生態、そして食肉流通事情を解き明かしていく。さらになりゆきでハム作りにも携わることになり……。 多様なジャンルをテーマに、多くの傑作ノンフィクションを世に出してきた著者がスペインと日本を舞台に描く、読み応えのある食ノンフィクション。

ひょんなことから、作家が、イベリコ豚に入れあげ、イベリコ豚を輸入し、商品化し、販売するまでを描いているのですが、素人がビジネスを作り上げるまでのプロセスや絶対にはずせないポイントまで、見事に描かれている点が、ビジネス書として読むのに面白いです。

私のように実際に商品開発をし、マーケットに出すまでをやっている人間からすると、当たり前のポイントが多いのですが、専門領域だからこそ知らない点もいろいろと出てくる。

生鮮食品、しかも肉という領域で商品を作って販売するとなると、こんなことまで考えないとダメなのね

という点が新鮮。

しかも、すべての事業開発に言える点を、すばり指摘しているのも、この本の面白いところです。

例えば、精肉店が生き残る戦略について。

デリカとして生き残る道。卸売に活路を見出すケース。量販店への転換。

この3つを戦略としてあげ、そして、それで生き残るケースがあがっています。

先日、化学品メーカーの生き残り戦略についてお客様先でお話したのですが、それと非常に似ています。(若干異なるけれど)

事業開発をする際に考えなければいけないポイントが、”肉”という現場でも変わらない。

そして、仕事の本質をついている。肉を仕入れることだけでなく、試作品づくりを何度も繰り返し、味を安定させて量産する方法を考えだし、税関の手続きを考えて…(以下略。本書を読んでください)と様々な作業が発生してくることについて語っているところでは、次のような文が出てきます。

仕事の本質とはアイデアや新製品を考えつくことではない。アイデアを製品にするために日々行う地味な作業とそれに関わる関係者の連作、打合せである。(P198より)

事業開発もまったく同じです。が、アイデアがないと事業開発は始まらない。スタートはアイデアで、そのあとは極めて地味なプロセスが続き、それをやり遂げるところからのスタート。そして、多くのケースが(事業開発の成功率は5%前後と言われている)失敗に終わる。

それの積み重ねなんですよね・・・

第8章の「プロと素人」は、ビジネスを遂行していく人間として、噛みしめて読んでもらいたいと思いました。

引用したいところがこれだけたくさんある本に出逢えて、とても嬉しいです!!

気になる方、是非チェックしてみてください。

2014年6月24日 (火)

サイエンス・コミュニケーション

駐日ノルウェー王国大使館で行われた「サイエンス・コミュニケーション」のラウンドテーブルに出席しました。

サイエンス・コミュニケーションって何?

と、思われた方もいらっしゃるでしょう。

科学技術を一般の人にもわかりやすく伝えることを、サイエンス・コミュニケーションと言います。

サイエンス・コミュニケーション自体が1つの研究分野となっています。

私は、技術(シード)をベースとした新規事業開発をよく手がけているので、「サイエンス」をどう理解してもらうのか?という観点を学びたかったこと、そして、ノルウェーは極北研究に力を入れていることから、ノルウェーはそれをどうやって説明するのか?という2点に興味があって出席しました。

駐日ノルウェー大使のArne Walther氏の挨拶に始まり、Ministry of Education and Researchの次官の Bjørn Haugstad氏によるスピーチ、サイエンス・コミュニケーションを研究テーマにされている東大の横山広美准教授の”サイエンス・コミュニケーション”の講演、東大の村山斉教授の"Why Do We Exist?"講演、そして、最後にパネルディスカッションと懇親会がありました。

Science Communicationには、自信(Confidence)が必要だが、それは、1)能力(Ability) 2)性格(Personality)の2つから成り立っているというお話がありましたが、Science Communicationの能力とは、果たして、後天的に身に付けられるのか?という議論が懇親会で繰り広げられていました。

それは、東大の村山先生の"Why do We Exist?"の講演は、素粒子理論をベースにしているにも関わらず、一般市民が聞いても非常にわかりやすい講演で、これぞScience Communication!というものだったので、「それは、プレゼンテーション能力を身に付けるなんてものではないのでは?」というところから始まったもの。

今日友人とランチをしていた時にその話をしたところ、なんと、村山先生と高校時代からの同期だそうで、当時から、ずば抜けた面白い方だったそうです。やはり、性格が大きく影響しているのでしょうか!?

ふと気づくと、来年2月7日に予定しているコンサートは、数学をマジックとクラシック音楽で説明するもの。これも、一種のサイエンス・コミュニケーションでしょうか?

2014年6月18日 (水)

中国外交の考え方のベースにある台湾と「一つの中国」原則

Photo6月13日に東京財団の第二回「政治外交検証」公開研究会 「中国外交における原則と実利主義」に参加しました。

レクチャーに参加した理由は、国内だけでなく、海外での事業開発を数多く手がけてきていることから、”外交”の基本的な知識を身に付けておく必要があるためです。

私は、香港返還後から、中国での事業開発に携わってきました。うまくいったものもありますが、うまくいかなかったものも数多くあります。

事業開発の成功率が5%と言われている中で、政治的な要素(と思い込んでいるだけかもしれませんが)で、中国での事業開発成功率はもっと低いと実感しています。

しかし、同じようなリスクが、事業開発をやってきた他の国にもあります。「なぜ中国のリスクをもっときちんと定義できないのか?」と、悩んできました。

中国政府がどのように外交を考えているのか、歴史的背景を踏まえて理解するのが一番の近道なのですが、今まで、いろいろな方にお話を聞いても、今一つ、中国の外交戦略が理解できませんでした。

その理由は、客観的事実をベースにした仮説ではなく、現象を小さな点で捉えていたからだと思います。

そして、分からないから詳しそうな人に聞くという形で、ロシアの時のように、自分で原著の論文等をあたって勉強をしてこなかった私の怠慢さでもあります。ここ最近は、成功率をあげられないから、中国ビジネスを避ける方向でした。

今回、法政大学法学部の福田円先生のレクチャーを聞いて、そして、ご著書を読んで、客観的事実に基づいて、中国及び台湾という面で捉え、しかも、それに対してアメリカをはじめとする大国がどうリアクションしているのかについても解説いただき、非常に納得がいきました。

以下、レクチャーの簡単なメモです。

中国・台湾関係をみると、中国外交の本質が見えるのではないか?

  • 台湾海峡危機以降、政治的利用となってきている
  • 当時の台湾の政権の交代に伴って、主張が変わってきている
  • 「二つの中国」への反対 →「一つの中国」
  • 宣伝外交による「一つの中国」
  • 現実主義(プラグマティズム) 
    台湾解放よりも国家安全保障を優先(持っている場所を守る)、スローガンを国家建設や愛国主義に利用、中国としての国際的地位を獲得 
    →原則も”現実”によって変わり、変化する余地を担保した政策となっている

「一つの中国」原則の3つの要素

  1. ナショナリズム― Nationの統一、発展、膨張の中で、領土保全という考え方
  2. 原則と実利主義の柔軟性―尖閣諸島も日米同盟があるために軍事的に占領は難しい。民主党政権の時に、軍事費削減や日米同盟の関係悪化をみて、アメリカ国内の世論を変えるために、尖閣諸島問題を再燃させたと考える方が妥当。
    事実、この1-2年で尖閣危機を作り出したことで、アメリカ国内では「ただの岩を巡ってアメリカがそこまで軍事費をかけて守る必要はない」という世論になってきている。
  3. 中国の軍事力増強と米中同盟強化―アメリカと日本の関係を弱め、自分たちが強くなっていくことで、今後の情勢を有利にしていく
    →今後の懸念点になる

詳細は、福田先生の第25回アジア・太平洋賞を受賞された「中国外交と台湾―「一つの中国」原則の起源」に書かれています。

この本は、6800円+税と、非常に高価な本です。しかし、何かのセミナーに行っても、5000円、1万円とお札が飛んでいき、中身が無かったりすることもあります。それと比較すると、内容がすごく濃いので、ROIは高いと思いました。

やはり、分からなないと言って勉強をするのをやめるのではなく、あれこれ手を出してみて、自分で納得のいくものを探す努力も必要だと感じました。

2014年6月17日 (火)

Googleのスカイボックス買収

今週の気になるニュースは、Googleのスカイボックス買収です。

このWSJの記事によると、今回の買収によって、Googleは2016年ごろまでに、地球全体の画像を高い解像度で1日3回取得できるため、かなり詳細にウォールマートの駐車場の状況データであったり、はたまたサウジの油田の状況データ等を入手することが可能になるそうです。

ウォールマート等の小売りは、売上予測がより精密に立てられるし、穀物相場の予測もしやすくなるのではないかとアナリストが解説しています。

Googleは自社のプラットフォームやサービスでの顧客滞留時間を高めることで、広告ビジネス(及び現在開発中の他のサービス)の収益を拡大し、ビジネスを展開しています。今回のようないわゆるデジタルプラットフォームのデータだけでなく、リアルなデータを直接解析できるようになることで、デジタルとリアルのビジネスのシームレス化はもちろんのこと、リアルビジネス単体でも、Googleプラットフォームへの顧客滞留時間は長くなります。当然ながら、オンラインの広告以外のビジネス展開もさらにリアルになってきます。

Walletの買収の時にも、かなり興奮しましたが(他社さんのことですが…)、今回の買収はそれ以上のインパクトがあるでしょう。

現在は、90%がオンライン広告収益ですが、近い将来、それ以外の収益が増えていくのではないでしょうか。

Googleの戦略について理解したい人は、1年ほど前の、ちょっと古い英語の記事になってしまいますが、Forbesに掲載された”Deconstructing Google's Strategy: Will Google Eat Your Business Next?”という記事がおススメです。

ちなみに、どうやっていい買収ターゲットを探すのか?という質問をよく受けますが、私がGEやIBMの事業開発時代にやっていたのは、以下の方法です。

  • ベンチャーキャピタル、エンジェルに声をかけまくる
  • 銀行(都銀以外に地銀、信金)の融資部門に聞く
    (データベースを持っているので、領域別にリストを出してもらい、インターンをやとって、片っ端から調べる)
  • イノベーション大会を開く(賞金等を目当てに応募がある)
  • 大学・研究所の研究者に声をかける(インターンをやとって、北から南まで片っ端から調べる)

実際に何度も会って、欲しい技術・サービスかどうか見極めていました。

注:私が担当していたものは、シリーズBかC以上で、所属していた企業で、ある一定の規模のビジネスを創るための技術・サービス獲得の1つとしての事業開発です

2014年6月15日 (日)

尚美学園大学での音楽キャリア論―コンサートの集客について

昨年度より、尚美学園大学で音楽キャリア論I、IIの2つの授業を担当しています。

先月の週末と、この週末は、集中講義で、川越の尚美学園大学に行っていました。

音楽キャリア論Iでは、音楽家が成功するための「マルチ起業家」キャリア―様々な人との共演、教鞭、コンサートのプロデュース、芸術機関の運営支援等―を創るための基礎力をつける方法を教えています。

演奏家としての評判作り、ファンづくり等のために必要なブランディングやデモの作り方、売り込み方について、教えています。

講義の詳細は、昨年12月に、「音楽キャリア論―音楽生活を赤字にしないテクニック」として纏めているので、そちらをご覧ください。

生徒からだけでなく、大学で教えている講師の先生や、記事を読んだ方から、一番多く聞かれる質問が、「集客について」です。

授業で教えているとはいえ、私は「集客は超簡単です!」と言えません。

地道にお客様にアプローチして、チケットを売っています。

時に集客がギリギリで、焦ったりして、「チケット買ってください~」と泣きついてみたり、恥ずかしいこともいっぱいやっています。

顧客については、以下の2つにわけて、授業では教えています。
(注:普通のビジネスのマーケティングの授業とほぼ同じで、扱っている素材がクラシック音楽なだけです)

・リピーターを増やす方法
・新規顧客を増やす方法

当たり前ですが、リピーターを増やす方が、新規顧客開拓よりも楽ですが、新規顧客開拓をしなければ、年十回以上出るコンサートの集客ができなくなるので、母数の獲得も大事。

私の場合は、新規顧客の率が30%で、既存顧客が70%です。100人のコンサートであれば、30人が初めて来る人という感じです。そして、その初めて来てくださるお客様を、1年以内に7~8割リピートしてもらえるようにしています。二度とこない人はなぜ来ないのかも、調査して、理由を明確にしています。

授業では、実際に私が使っている顧客名簿(顧客名は分からないように加工)を見せながら、授業を進めています。

DMはコストがかかるので、開封率100%、レスポンス率75%以上になるように、DMを送る相手を厳選しています。DMが多いとウザくなって、開封率もレスポンス率も下がるため、多くのお客様は、年1-2回しか私のチラシを受け取らないようにしています。(熱烈なファンの方は、もっと多く受け取っていますが、全顧客の1%もいません)

それゆえ、チラシの印刷枚数も、ギリギリしか刷らないため、ほぼ余らず、コスト削減を実現しています。

こうやって、やっていることをきちんと数値で管理する。そして、自分がやっている活動が目標数字に達成しているかどうかをチェックしながら、ダメだったら何がダメだったのか洗い出し、うまくいったことは次にもうちょっとうまくいくように工夫の余地がないのか、続けていくと、それなりに集客ができるようになります。

もっといいやり方があるのかもしれませんが、音楽家だけでなく、セミナー講師をはじめ、集客に悩む人たちがいて、集客がうまくいっている人たちは、同じようにきちんと顧客名簿を作りこんで、アプローチ方法を考えて、アプローチ結果を数値でモニタリングして…というサイクルを回していることを考えると、こういうやり方が一番の近道なのかな?と思っています。

2014年6月11日 (水)

日経ビジネスオンラインの連載7回目が掲載されました

日経ビジネスオンラインの連載「秋山ゆかりの女性キャリア論」の7回目の記事が掲載されました。

孤独の先にある新しい世界」というタイトルで、マネジャー職になって何となく職場で浮く、露骨に無視される、段階は様々ですが、孤独感の克服について書きました。

ご覧くださいませ。

2014年6月 5日 (木)

先週のDavos Experience in Tokyoの反響

先週、Davos Experience in Tokyoという石倉洋子先生が主催している会で、戦略PRについてプレゼンさせていただいたのですが、面白かったというメールをたくさんいただいています。

今回は、最近話題の「企業内社会起業家」がテーマで、ANAのBlue Wingをどうやって一般に広げていき、そして、「Vote」やPVを獲得し、存続させるか?というのがテーマでした。

そのディスカッションにあたり、他企業・他団体の事例として、戦略PRについてプレゼンさせていただきました。

2009年1月に、ブルーカレントの本田哲也さんが「戦略PR」という本を書かれて、一般に浸透したと思っていたのですが、別の場所でも依頼があって、戦略PRのお話をしたりする機会が最近多いので、まだまだ浸透していいのかな?と感じます。

最近、医療系の仕事が多いので、LG21やR-1等をテーマに話すことが多いのですが、NGOやNPOの事例も数多く出させていただいています。Communication Shut DownDriving Dogsなどのクラシックな例はもちろん、いろいろな試みがあり、成功しているものも多いので(成功の定義によりけりですが・・・本人たちが意図していること以上になれば成功かと思います)、気になる人は、戦略PR(Strategic PR)のキーワードで探してみてください。

また、Spikes AsiaというサイトのWinnersのリストを見ると、「へ~、こんなPRができるんだ!」と参考になるものがたくさんあります。私の海外事例ネタは、大体このサイトがソースです!

尚、海外では、Strategic PRで学位がとれるほど、一般的な領域になっています。

2014年6月 2日 (月)

種村国夫さんの海展




種村国夫さんから「海。。。展」のご案内をいただき、最終日に駆け込みました!

青山のサロンドフルール。

今日は暑かったので、いっそ行くのをやめようかと思ったのですが、がんばって行く!

エロティックアートの種村さんですからなにかすごく期待して行ったわけではないのですが、あったかい色遣いにいやされました。

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秋山ゆかりについて

コンサートスケジュール

  • 2015年2月7日(土)自主企画コンサート「数学×音楽!?~数学がひも解く音楽のヒミツ~」午後1時半~@JTアートホールアフィニス(虎の門)チケット4000円

講演のお知らせ

  • 2015年1月14日(水)午後5時~8時「理工系女子による理工系女子のためのキャリア戦略講座」@人材研究所セミナールーム
    お申込みは、こちらから
    2015年1月16日(金)午後5時~@明治大学
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