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2008年3月25日 (火)

つぐない&贖罪

なぜそんなことを思いついたのか、分からないのですが、複数作業同時進行推進派としては、一度、「映画を観ながら、原作を読む」ということに挑戦してみたかったので、挑戦してみました。

ブッカー賞受賞作家、イアン・マキューアンのベストセラー「贖罪」をジョー・ライト監督が完全映画化した「つぐない」。贖罪を読もうと思って積み上げてあったので、そうだ、これがいいと、この本と映画を同時進行しながら読み、観るというのをやってみました。
#飛行機の中でとってもヒマだったので、新たなチャレンジとなるような、ある意味エンターテイメントが必要だったのです(笑)。自分でもくだらないことをやってるなぁ...とは思いますが。

しかし、結果は散々。まず、映画が英語で字幕なしで、小説が日本語だったことが、混乱を招きました。私はどちらの言語も翻訳なしでそのまま頭に入れていくタイプなので、2つの言語でインプットするのは無理でした。小説を読みながら、映画を追う。こんな簡単なことなのに、言語が違うだけで、成立しないとは...

また、完全映画化とは言え、すべての小説のシーンを映画化しているわけではないので、映画のスピードと小説を読むスピードが、当たり前ではあるのですが、違います。映画がずっと先に行ってしまったのに、小説ではまだずいぶんとページ数があり、そこまでたどり着くまでに、もう次の話に進んでいる。小説の結果が映画の視覚情報によって分かってしまうので、各キャラクターの微妙な心の動きを読みとるところまでいかず、必死でストーリーを追いかけるようになってしまう。

結局、開始30分で映画に注力することにし、小説は、映画終了後、ゆっくりと読み直しました。

PhotoPhoto_2映画「つぐない」。

1935年の英国。広大な邸宅で恵まれた生活を送る13歳のブライオニー(シアーシャ・ローナン)は、ある週末の日、姉のセシリア(キーラ・ナイトレイ)が、噴水に飛び込む姿を見る。庭師の息子のロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と口論になり、彼が花瓶を噴水に落としたのだった。セシリアに惹かれていたロビーは反省し、彼女への謝罪文を作成する。そしてその手紙をブライオニーに託すが、しかしそれは思わず書いてしまった、卑猥な内容の手紙だった。その手紙を読んでしまい、ひとり動揺するブライオニー。渡すつもりのなかった手紙を託したことに気づいたロビーは、セシリアのもとに駆けつけ無事に誤解を解くが、2人が結ばれた光景を偶然目にしたブライオニーにとっては、ロビーがセシリアを襲っているように見えたのだった。やがて、屋外で女性が何者かに襲われる事件が発生。現場に居合わせたブライオニーは、ロビーが事件の犯人だと証言する。こうしていくつかの誤解の末、ロビーは性的犯罪者として収監され、2人の運命は悲劇へと導かれてしまう…。

原題は、Atonementなので、小説のタイトルと同じように、贖罪の方が良かったのではないかと思います。つぐなうというのは、大辞林によると、「埋め合わせをする」という意味があるのですが、はたして、ブライオニーは自分の犯した罪を埋め合わせしたか? 埋め合わせする前に、ロビーもセシリアも戦争でなくなっているのですから、答えはNO.

とてもキレイな映像で、ブライオニーの少女だからこそ犯してしまった罪(やってはいけないことですが)と揺れ動く心がとても繊細に表現されていました。

(映画の総合評価:★★★★☆ 日本語のタイトルがちょっと...)

Photo_3さて、次は、イアン・マキューアンの小説、「贖罪」。

内容(「BOOK」データベースより) 1935年夏、13歳の少女ブライオニー・タリスは休暇で帰省してくる兄とその友人を自作の劇で迎えるべく、奮闘努力を続けていた。娘の姿を微笑ましく見守る母、一定の距離を取ろうとする姉セシーリア、使用人の息子で姉の幼なじみのロビー・ターナー、そして両親の破局が原因でタリス家にやってきた従姉弟―15歳のローラ、9歳の双子ジャクスンとピエロ―らを巻き込みながら、準備は着々と進んでいるかに見えた。だが練習のさなか、窓辺からふと外を見やったブライオニーの目に飛び込んできたのは、白い裸身を晒す姉と、傍らに立つひとりの男の姿だった…。いくつかの誤解、取り返しのつかぬ事件、戦争と欺瞞。無垢な少女が狂わせてしまった生が、現代に至る無情な時間の流れの果てに、切なくももどかしい結末を呼ぶ。ブッカー賞最終候補。全米批評家協会賞受賞。

個人的にはブッカー賞受賞作品のアムステルダムよりもずっとこちらの作品がいいと思いました。

この小説を読むと、いくら少女特有の若さ故の、純粋さ故の過ちだったとはいえ、一度犯してしまった罪は、いくら悔い改めようが許されるものではないのだと思いました。ここでは、ブライオニーの罪がスポットを当てられているけれど、戦争という悲劇についてこれだけページを割いた著者は、戦争もまた、許されることのない大きな罪なのだと言いたかったのではないかと思いました。これは、映画からは読み取れなかったものです。

(小説の総合評価:★★★★★ 感動しました)


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